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大人になるって、ずっと遠いものだと思った。
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2011年08月27日 (土) | 編集 |
リアは、続けて言う「キミ怖がりでしょ!まさか倒れるとは、思わなかったよ、最近ここに来る人ってなんか冷めてるんよね
その点キミは・・・」一応、確認しておきたいが、私は怖がりの方だが、小心翼々では決してない。しかし、こいつは言いたい放題だな、
何かこいつを黙らせられないものか・・・? 
「キミ、なんか言ってよ。人と話すの久しぶりなんだよ」リアは、言葉では怒っているが、明らかに喜色満面だ。 
私的には、不本意だが、その言葉に乗ってやろうではないか「ここにいるって事は、リアも死んでるの?」
「そだよ。私はねぇ、一年ぐらい前にここに来たんだよ」私は、冷静に考え問いの多さに気づいた。

「僕の体ってどうなってる?」私は、かなり焦っていた。なぜ焦っているかというと、私はリストカットをしたのだ。
これくらいの死因ならまだいい、例えばこれが、バラバラ殺人の被害者ならどうだろう。体はどうなっているのか?

「ねぇ聞いてるの?」リアは怒っていた。どうやら私が、無視していたようだ。「ごめん、ごめん考え事してて」私は、
今は考えるべきではないと思った。「もう言わないからね!」リアは、聞いているか確認するために、私の目を一瞥し、話しを続けた。
「足首より下はないけど、それ以外はあるよ」「そっか・・・。じゃぁ、死んだあとは、どういう仕組みになっているか
解かる?」リアは、私が真面目に話しているのを感じ取ったのか、初めて真面目な顔になった。「私にもよくわからないけど、
ちょっとなら」
私は、死因との関係がどうなっているのか、気になってしまった。「教えてくれないか?」
「もちろんいいけど、ほんとに深くはわからないからね」前にも同じ事があったのか、リアは同じようなことをもう一度言った。 
「わかった。」もちろん口だけの返事だ。「まずは、ここについて話すね。ここは、ノート・ラインと言って死人(しびと)が最初に
来る場所なの。ここをこの世界の中心とするなら、ここよりも東側をフライカー・ライン、西側をフィアー・ラインって言うの。それで、
私たちは三つのラインのことをデッド・コーナーって言ってるんだぁ。ここまでは、いいかな?」リアの薄紫色は、私に応えを求めていた。
「つまり、僕達はデッド・コーナーのノートラインにいるんだろ?」私は、間違っていないはずだ。思慮分別はできている。
「そうそう。」リアの顔が不意に強張った。
「ここからが重要だよ。キミは、何かしらの理由で死んだよね?死んでいなかったらここにはいないわけだからね。
キミの死んだ理由はわからないけど、死因はここでは関係ないの。具体的に言うとね、今のキミの体と、死んだ時のキミの体は
一緒じゃないの」

リアの言っていることが本当なら、今の私の存在は、元の体形をベースとする魂なのか?
私の思うとおりなら、死んだ時の体は魂の抜け殻になっていることになる。この世界でも、動作は基本的に変わらない。
例えば、前に進みたいと思えば、歩くという動作を行うだろう。この世界でもそうしなければ、前には進めないようだ。

「ここにいるキミや、僕は、魂みたいなものになるの?」私は、自分なりの答えを発した。
「うーん、たぶんそういうことになると思うよ」リアにも解からないようだった。

私は、これが最後になることがわかった。「フライカー・ラインとフィアー・ラインの説明するね」リアは、微笑んだ。
しかし、私には笑っているようには見えなかった。むしろ寂しいという言葉が、当てはまるのではないか。

「頼むよ」
「うん、じゃぁフライカー・ラインから説明するね。ここは、蘇生を待つところなの。ようは蘇生までの時間の暇つぶしの場所かな
まぁノート・ラインも、蘇生を待つところなんだけど、ここは暇なんだよね。ちなみに蘇生には、100年間ここで
待ってなきゃなんないんだ。」

「最後にフィアー・ラインについて話したいけど、ほとんどわかんないんだ。でも、これだけは言える。はっきり言って、
ここには行かない方がいいよ。すぐに蘇生できるらしいけど、本当かどうかわかんないし、ここに戻ってきた人も見たことないよ」

「ありがとう」

私は、本当にリアに感謝している。彼女がいなければ、私はどうすればいいかわからなかっただろう。私は、
リアの存在理由に気づいてしまった。

「リア、キミはここでこの世界を案内しなければならないんじゃないか?」

リアは、沈思黙考としていた。そして、口を開いた。「気づいちゃったんだね・・・」リアの小さな口は、震えていた。
「私は、ここで死人を案内しなければならないの。それが私が昔した契約だから・・・」

「契約って?」私は、聞いてはいけないことを聞いてしまったと思った。

リアは、狐疑逡巡としていた。「いいたい時に言ってくれる?」
「どういうこと?」リアは、不思議そうに私を見た。
「言葉どうりさ、まだここにいようと思ってね」
「えっ!」たぶん私が初めてこんなことを言ったのだろう。リアは、驚いている。
「無理しなくていいよ。私は、一人でも大丈夫だから」
「無理なんかしてないさ、正直ここはなぜか落ち着くんだよ。だから、ここに飽きるまではいさせてもらっていいかな?」
リアの薄紫色の目は、今にも涙がこぼれそうだった。
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2011年08月26日 (金) | 編集 |
そうこうしている間に早くも公園についた。
とは言っても中にはまだ入ってはいない

それというのも、目立った建物も近くにはなく見通しの良い開けた公園で安全そうに見えたのだが、道路に面しているから公園手前の信号にやられた。この信号は捕まると冗談ではなく長い。

名の売れた遊具しかない寂れた公園に行くことだけに使うにはもったいないと思ったが、ちらっと流し眼をして諦めた。

時間を潰すためにふと、昨今の子供事情を思い浮かべた。

家をでないというのは公園というものを無くしてしまうだろうな……。

しかし、そうはいっても誰もいないわけではなかった。
背丈が同じくらいの二人の少年が、相対してキャッチボールをしている。
中学生だろうか、それなりに球威のあるボールが飛び交っている。他に邪魔する騒音もないのか、楽しそうにパン、パンとグローブとの衝突音が響いていた。

「次カーブいくぞ」

そう云って一人の少年が手首を時計回りにぐりぐりと捻って、相手にアピールをした。

少し野球をかじった人ならわかるだろうが、要するにカーブ投げるから座って受けろという暗黙の合図を投げたのだ。

精神年齢が上なのだろう。仕方なくもう一人はキャッチャーをすることにしたようだった。
すると少年は、先ほどまでのキャッチボールとは違い、さながらピッチャーだというような仰々しいモーションをとって大きく振りかぶった右手を袈裟切り下ろした。
するどうだ。そのカーブとやらは的外れな方向にすっぽ抜けた。
「ふざけんなよ」
愚痴を零したキャッチャーはそそくさと飛んで行ったボールを追いかけた。
「わりい」とピッチャーは一言だけキャッチャーを労った。


私は、死ぬ以前、「死後の世界はない」と思っていた。だが実際は、違ったのだ。
私は、この出来事を証明する側になってしまった。

私は、左見右見した。暗闇と光の真中にいるそれ以外に説明することができない。
ここには、それしかないからだ。空は、夏の夜空に似ているが、星も月もないあるのは、
私が見たり感じたりしている事実だけである。

私は、ふと思った。体は、どうなっているんだろう・・・?私は、肉体がないことを怖れた、目をつぶって
手を見える範囲に上げようとする。上げた感触は……ある。私は息を吐き出して、少しずつ目を開けた……。

「わっ」いきなり大きな声がす。
私は、驚きのあまり思いっきり手を振り回した。
すると、バチーンといい音がして、
女の子の甲高い声を聞いた。
私は、恐る恐る声がした方を観て、女の子がいるかどうか確認した。いる。
白いワンピースを着た少女が、痛そうに後ろを向いている。私は、謝ろうと思った。

「キミ、大丈夫?怪我はない?」少女は、「大丈夫です」と言って、私の方に顔を向けようとした次の瞬間
「・・・」私は、倒れた。なぜって、少女の顔が、強く殴られてできるようなレベルのものじゃなかったからだ。
ゾンビそう、バイオよりは、ハウスオブザデッド的なゾンビな顔だ。

「大丈夫?」少女の声が聴こえる。私は、冷静に分析した。
(きっとあれは、夢に違いない、この声は私の妹のものだろう?随分長い夢だったし、そろそろ起きよう)
私は、ゆっくりと目を開けた・・・。

「きずいた?」

さっきの少女の声が私の顔の正面から聞こえるが、あのゾンビ顔ではない少女と目が合ってしまった。

「さっきは、ごめんに」少女は、言う。

私は、こう答えよう「ここはモンスターハウスですか」

少女は、笑いながら「初めてここに来た人を驚かすのが私の日課なんだぁ」

「はっ?」私は、意味がわからなかった。

「キミ、鈍いなぁー。あれは、被り物だよ。それでキミは、まんまと私の思惑どうりになったわけ」

少女の笑いは、私を驚かせる事に成功したからのものか、ただ単に私に対する作り笑いなのかはわからないが、
これが作り笑いなら、女性を一生信じられないほどのものだった。私には、それ程経験はないが・・・。

少しこの少女を観察しよう。まず、足は細めだが、細すぎではなくバランスがいい。
ところで、なぜ足からと思っただろうそれは私が、足フェ・・・まぁいいか 次に、髪は、肩に軽くかかるセミロングで、薄い桜色 肌は、どちらかといえば、白い 目は大きく薄紫色?だと思う。私は、ここまでバランスがいい女性を見たことがない。

まぁしいて言えば・・・胸が「冷た」いきなり額に冷えたタオルをあてられた。

「ジロジロ見すぎだぞ」にっこり笑いながら言う。

「ごめんいろいろなことがありすぎて、混乱してたんだ。だから、せめてすぐにできるここの観察でもと思って」我ながら、嘘が上手い(?)

「ふーん まっいいか」少女は、一瞬何か疑ったがすぐにやめた。

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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
2011年08月25日 (木) | 編集 |
「学生証落としましたよ?」

「ああ、えっと、すいません――
わざわざありがとうございます」

第一印象は、そう不健康な男だなと思った。髪はあつぼったくのばされ、巻き髪の寝癖が何箇所かたっていた。随分と真新しいスーツを着て若く見えた。

「あそこの学生さんなんですね―僕、今季からここにお世話になることがきまった山本です。たぶん来週には学校の方で紹介があるので、よろしくお願いしますね」

見知らぬ他人によく話す奴だなと不機嫌になりながらも、
「よろしくお願いします」とだけ答えた。

         注

――彼はこの出会いを忘れています。しかし、現実として彼は現実に残されています。そして、貴方もご存じの通り彼はではありません。

よって、我々は繰り返される虚言を彼に与え続ければならないのです。
それが、私達の役割であり、彼の義務。

それは貴方も研修でご存じのはずです。

けれども、貴方の中には研修など受けてなどない?と思っている方は、思い出してください。
貴方も繰り返される彼の虚実を知っているのです。繰り返される退屈な日常、変わらない人々の関係、葛藤、闘争、そして望んだままの妄想への逃避……。

彼は、永遠の悪夢を見続けているのです。

私は彼らの望むままにしてさしあげました。本物の彼は保存されています。彼の現実は、今、時にしかありません。そして、この世界は彼らの望んだままの姿形をするでしょう。ですが、完全ではありません。
例えば、彼が日常を壊したいと自覚したならば、この幻想は壊れます。

しかし、それはありえません。もう一つの可能性、貴方は見つけることは出来ますか……。
申し遅れました。私はここの管理者の梟と申します。また終末に御会いしましょう――。

「では、失礼」

僕は駅の近くに住んでいる散歩が趣味の学生だ。
趣味が趣味なので、よくよく友達におっさんっぽいなと馬鹿にされが、それはぼくが少し大人びているというだけで何も変ではない。

だから僕は、からかわれるのは変じゃないかなと思っている。
どちらかといえば、友達の方が変だと思ったし、僕の様な人を変わっているというなら、世の中の変態はなんと云うべきかと悩む。

だって、同じ枠に入れられるのはさすがに嫌ではないか――。
つまりなにか、ぼくは小説の主人公のように凄い能力を持っている。だから変というわけか……。
いやいや、僕にはそんな馬鹿げた様な力はないし、強い奴らをバンバン倒していくわけでも、元々強いわけでもない。所謂、変人でも、天才でもない。

寧ろ、友達のように考えさせてしまうこの世界が変じゃないか……。
ぶつくさと愚痴を零しながら散歩を楽しんでいる。これだって年相応。同年代が行っているウィンドウショッピンングと変わらないだろう。

そういって、今日も例の如く僕はいろいろとセカイに物申す。












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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
2011年08月24日 (水) | 編集 |
「おいおい、外務省って……。」
これには驚愕した。一端の高校生には、有り得ないことだから、経験なんて勿論ない。
 あったとしても地球外生命体という概念を素直に認められる奴がこの地球上に何人いるのだろうか。
 まあいたとするならば、友達にはなれそうだが。
「しかし、しかし、有り得ないだろうこれは……。」
ぶつぶつと小言をもらしながら、髪を何度も掻きむしった。
その仕種のせいだろうか、女性は手紙を読み終えたと判断し、軽く僕に微笑んだ。
 それは信じて頂けましたかと言わんばかりで、僕はまた嫌気がさした。
 頭の中は、反時計回りにぐるぐると逸物の不安が循環した。

 そのせいだろうか、突然、激しい頭痛と吐気が僕を襲った。

 初めは、酔ってしまったんだと思ったのだが、だんだんと色覚が鈍くなり、辺りが黄色く薄れていく、
窓に建ち並ぶビルなんかは、既に視界に入らなくなっていったのだが、ふと見れば違う意味で見えなくなっていた。
 終いには聴覚も鈍感になって、意識もなくなってきた。さすがにおかしいと思い、車の窓硝子に額をつけてはみたが何の効果もない。
 仕方なく僕は、女性に状況を説明したのだが、女性は
「そうですか」
と冷徹に答え何の対応もしてはくれなかった。
 怒りを呈したところで何の解決にもならないと感じ、僕は眠ることにした。
 話しは変わるが、朦朧とする意識内でも僕を苦難させていたものは、逸物の不安と、選ばれてよかったという安心感、そして、彼女等への怒りだった。



彼らが車上で手紙を読んでいるだろう頃、私は決断を迫られていた。

「ですから、我々全体の力が必要なのです。お手元の資料をご覧下さい。記載してあるデータの通り、多少の破損があるものの情報操作は地球人類では不可能だと推測できます。
仮にこれが間違いだとしても、最悪の事態を避けるべきだと思慮します。よって、然るべき対応をとるべきです」
 
私は、この発言を嘲笑うかのような静けさが嫌だった。
どこを向いても蔑んだ目や、視線を合わそうとしない冷たい真冬の寒さが嫌だった。

 しかし、それでも僅かばかり賛同する者がいるらしく、それが唯一の救いではあった。敵は全てでないといった安心感は、冷えきった私を暖かく迎えてくれた。

 突然、一人の男が立ち上がり拍手をしだした。一面の視線はその男に向けられ、どよめきがわき静けさを一蹴した。
私もこのような公の賛同を得られるとは予定外であったから驚愕した。
 私自身この非化学的な話を完全に信じている訳ではない。証拠となりえる資料を見てもなにかの間違いだと今でも思うぐらいである。
 外務省長官でなかったのなら、賛同の少数派になれただろうか……。
 しかし、よく考えて見れば賛同の拍手にしてはテンポがゆったりしているのはおかしい。 
どちらかといえば、私を蔑んだ感情の表れではないだろうか。
 一度そんなことを考えてしまった私はこの男に異様な怒りを覚え、冷徹な眼で見始めた。
 すると男は、拍手を止め口を開いた。
「さすがは、長官、すばらしいお考えですね。地球外生命体について議会案を出すなんて本当にすばらしい。ですが、ここは予算やら、景気回復やらについて思案する場所であり、
こんなつまらないよた話を語る場所ではないことをご存じですよね。皆さんはどうお思いですか?時間の無駄だと思いませんか?」

 正直な話こうなることは、わかったいた。
 現在の景気を考えれば、こんな非科学的な話に時間を掛ける余裕などないこともわかっていた。

 しかし、しかしそれでも私は、最悪の事態を避けたいだけだ。
 
私は、やたら激しい効果音を背に潔く退出した。






私は個室で公務をこなしながら、彼らを待っていた。
勿論、議員やらエリート官僚やらの枠組みの奴等のことではない。
 かといって一般的遺伝子をもった大多数の人々という枠組みでもない。彼らを枠でくくるとするならば
「変異遺伝子」または「ミュータント」とでも言おうか、そんな名称の彼らを待っていた。

 何故私が彼らを待ち望んでいるのかと言えば、簡単なことだ。

 そのすばらしい能力を利用するため……。聞こえは悪いが結果的にはそういうことになる。

 場合によっては個々の能力を開花させる訳だから、喜ばれるかもしれない。
随分楽観的だが、そう思っておこう。

しかし、利用するにも問題がいくつかある。
その一つに彼らのほとんどが能力に気付いていないということがあげられる。まあそれは我々(人間)にとって好都合でもあるのだが……、今はその能力が必要な時なのだ。
「しかたない、しかたないのだよ。そうしなければ……、」

「終わりだ」

社会的、道徳的な甘ちょっろい綺麗ごとに時間を割いている余裕なぞ欠片もない、いや倫理やら道徳やらが悪いという訳では決してない。

 私が言いたいのは、それらに縛られてしまって、すべきことをし損ねてしまっては本末転倒ではないか。私は国民の為ならば、悪魔とも契約を交わそう……。

 

それから数時間経ったのだがなんの連絡もない。必ず連絡するよういったのだが、私の携帯も個室の受話器も音信不通だ。
 暫くは落ち着きながら公務をまっとうしていたのだが、秒針が回るにつれて居た堪らなくなった。
 それでも公務はまっとうすべきものだし、国民の期待を裏切る訳にはいかない、脳内から軽く焦燥を排除して仕事を続けた。
 時計の音も静かに流れ、私の体内時計も落ち着きを取り戻す。幾枚もの書類に目を通した。
ふと気付けば日はどっぷりと沈みこんでいた。
「おや、もうそんな時間か」

「失礼します」
突然、部屋の外から待ち望んでいた声が私に届いた。
「入ってくれ」
「遅くなりました」
その声の主は、やはり私の部下であった。それも信頼を置いている第一秘書の美薗君である。
「君か……、でどうだった? 」
「はい、作戦通りにいきました」
「そうか」
私はあらくなった呼吸を整え
「それで彼は?」
と疑問を投げた。
「はい、彼はこの部屋の外に」
そして、美薗君は、何の迷いもなく
「入っていただけるかしら」
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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
2011年08月23日 (火) | 編集 |
 今、僕はと言えばそんなことを思慮してしまう自身を自嘲し、だだっ広い公有地にずかずかと我が物顔で闖入している最中である。

 しかし、今日だけは多少足取りがはずむ。
景色も心なしか僕の胸中を察し、優美な慈雨を散らせていた。この時期には、桜吹雪という神々しい雨が似つかわしい。
「面白くなりそうだ」
と、なんて信憑性がないことを口ずさんでいると自重する自分が少し気恥ずかしいが、そんな阿呆らしい行いは軽くそこらに忘れ去り、僕は腰をかけた。


 




皮肉にもそれから半月が経ても不変的な生活が待ち受けていた。つまり、僕が思い描いたようなことは一切起こらなかった。
 
世界は、上手く出来過ぎている。

時間は不可逆、時間遡行も実質不可能、地球外生命体、未確認飛行物体の公式記録だって信憑性はほとんど皆無、それが面白いか、未確認生物が闊歩するまでは望まないが、せめて未確認飛行物体ぐらい飛び交ってても良いじゃないかと思わないか―。
 逆に思わないやつがいるとするなら、つまらない人だと思う。
 そう思い続けていただろうな、あんな留学生として派遣されなければ……。




女が僕にとんでもないことを話す。
無論、顔つきは力が入り硝子が遮る目は僕の瞳を放す隙さえ与えないが、彼女の折々観せる左指が金属の枠に軽く触れる仕種は、演技ではないことを見当づけさせた。

 しかし、この女は僕の存在を僕だと認識してからも、僕の存在が確定する以前も、有り得るはずがない、現代化学では有ってはならない話をするあばずれだ。
 もし、それに偽りがないとするならば、僕としては面白いが、未曾有な問題が浮上したことになる。
 確かに僕は、面白いことを望んでいたし、この苦悶の世界に絶望していた。
 だが、だからといって、安易に信じる程僕は馬鹿じゃない。それなりに常識をわきまえている。さすがに物理法則が全能とは言わないが、事象、現象のほとんどが解けると言っても過言ではない。
 それにしても馬鹿にされているようで不愉快だ。
そう思ってしまうのは、僕が冷静でいないせいなのか?
それとも、目の前のあばずれの下らないえせ話のせいなのかは、後者が原因で間違いはないだろう。
 しかし、ここはあくまでも冷徹に筋を通そうじゃないか。
「貴女の話しはよく解りましたが、具体的な形で示して頂けませんか? 」
僕はあからさまな嫌気を示しながら
「詳しい話しはそれからです。」
と返答した。
しかし、女は
「実に期待通りの答えです。いえ、悪い意味はありませんし、寧ろこちらとしては都合が良いです。非難している訳でもありません。お気になさらずに」
と、軽くあしらう。
僕は彼女の手のひらの上に転がされている?
 という疑問が過る。
しかし、注意深く考えはしなかった。

なんだか嫌気が刺す。

 事の発端は五月、勉学という平日の仕事を果たし、通称放課後と言われる頃合だ。

 僕はそそくさと教室から逃走し、昇降口を出た。。
黄昏に近しい頃合であるのに、太陽はまだまだ勢いがあり、広葉樹も葉を青々と茂らせ景色も賑やかに成ろうと努力しているように思える。
 こんなことはありふれた日常で、ただ退屈なだけだが、僕の目先には懸案が明瞭に待ち受けている予感がした。 
 「何故かって? 」目先に灰色のスーツを着用した女性と白い運転用の手袋をした黒スーツの男性、校門には似つかわしくないリムジンで、辺りに人は皆無、男女共に明らかに僕を凝視しているという状況。
 これらのことからパターンを想定してみても僕に用件がある方向のベクトルになる。
 一瞬裏手を目指そうと思い踵を返してはみたものの、面倒であるし、何よりリムジンに乗っている者が裏手に人を配置していない可能性を考えれば、無駄な余力を費やすことは愚かである。

 僕はしかたなく二人に声をかけることにした。
「何かようですか? 」
微かだが確かに女性は満足そうに微笑んだ。
「なかなかの判断力のようね」
初対面の他人に言われる言葉でないが、堪えよう
「御誉めありがとうございます。すいませんが忙しいので用件がないのならば、失礼したいのですが」
 女性は、辺りを軽く一瞥し、顔を強張らせた。
「何も聞かずに乗ってくれる? 」
僕は女性の視線が妙に気になり、耳をすます。すると、先程とは違い昇降口付近が賑やかになっていた。

女性が辺りを一瞥したのは、つまりここでは話しにくいと考えるのが自然である。
 この二人の目的が定かでないが、誘拐目的ではないのは理解できる。一体何が目的なのだろうか、鎌をかけてみようか
「嫌といったら? 」
 僕は直ぐ様彼女の一挙一動に神経を集中し
「残念ですがノーの選択肢はありません」
僕は彼女の言動には敢えて無視を決め込んだ。
「行くのはいいですが、僕にも利益が有りますか? 」本の一秒程間があり、彼女の左指が金属枠にちょこんと触れた。
「私には、解り兼ねます」
僕は小さく低い声で
「なるほど」と零し
「わかりました」と答えた。

 







前文はこの車上内のことである。
余りにもこの女は愚かであるから、とうに愛想がつきていた。端的に言えば、聞いているのも億劫だということだ。
しかし、慈悲深い僕は
「大まかには解りましたので、もう結構です」
と丁寧に断りを入れ
「つまり、地球外生命体が近々コンタクトとしてくるので、僕に出向いて欲しい、と」
僕は一呼吸だけ息を吸い
「そういうことですね」と言葉をつなげた。
残念なことに女は満足そうに微笑み、そうですと言わんばかりの顔つきで、それからは何も言わなくなった。
 
僕はその間この数学的確率を暫時考えていた。しかし、表れる数字は期待通り零が六個付き、1が場違いですねと言っているように思える。
「この際、常識は捨てるとしても、なぜ僕なんですか? 」
「わかりません」
女は困惑した表情で、凶悪な一言を述べた。
僕はその一言をどう受け止めることができたか自分自身不安であったが、そんなことはどうでもよくなった。
 
女は未だに何か言っている。しかし、僕は早くに視線を外し、ふと、窓を見た。
 窓の向こうには馴染みのない場景が自然な場所から擦れ違い、見送っても直ぐに距離が離れて行った。
 それは、今の僕と昔の僕との距離のようで

「皮肉だな」
ふっと息が抜け苦笑(えみ)が零れた。

 女はその表情を律義に観ていたのか
「どうかしましたか?」と不思議そうに投げ掛けた。
「いえ、別に」
 女は僕の心境を察したのか肩を落とし、僕から目を背けた。

 それから暫くしてまた女が口を開いた
「もうすぐのようね」
と一言と言うとゴソゴソと何かしている。
 全く気付かなかったが、女は自前のサイドバックを持っていたようで、そこから封筒と資料を取り出した。
「これを見てくれる」
女はそういうと封筒を右手で手渡した。
僕は何の不安も、好奇心もなかったが、受け取った瞬間に確かな重があるように感じる。
なにしろそこには、開封不可という黒肉にマル秘という朱肉が印されていた。
「???」
「……」
「*」
「**」
「***」
「……」
「……」
「」
「」
「」
車内には、どうしようもない程の沈黙が流れていた。僕は何度も頭の中で衝動を押し殺し、何も考えないようにした。





しかし、僕は封を開けた。








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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
2011年08月22日 (月) | 編集 |
僕は、嘘つきだとよく他人に言われた。それもよくよく云われ今でも本当だろうかと夜な夜な顧みるときがあった。全く見当もつかない。
そもそも、誤解を生じさせるような曖昧な表現は好まない僕が、意味もなく見当違いな嘘をつくだろうか……。
 けれども、さらに僕は論理を進め、冷静にアナリシスする。脳内の複雑な回路の中から解へ導くだろう事象を思い出そう。
 さて、僕は本当に嘘つきなのだろうか――。
 初めて嘘つきだと言ったのは誰だったか覚えがないが「壁だって通ることができる」と教室中に反響させた頃だから、小学生時だったか……。
しかし、我ながら稚拙なことを云ったものだ。きっと僕は「通り抜けることができる」といいたかったのだろうな――。だが、それだとしても本当のことだ。その言葉に他意はない。
人間は、結局、原子からできているのだから不可能ではないだろう。網戸の目が細かろうと、粗かろうと通り抜けるだけの隙間がある以上、完全否定はできない筈だ。  
けれどだからといって、僕の論理が完全に正しいともいっていない。原子というものが我々人間の想像論理の絶対的なものであれば話は別だが……。
結果として壁を通り抜けられるはずだ。
 だがもし、嘘つきなのだとしたら、僕の存在は僕が認識し得(う)る範囲内にないのかもしれない。それはそれで少し興味がある。つまらなかった日常に一つの鉱脈が見つかった気がしたのはこの時なのかもしれない――。
話しはかわるが、僕は数学というのが好きだ。時に心をひき、時に滑稽で愉快である。それは人間そのものではないか―。僕は決して人間嫌いのわけではなく寧ろ
好いていると思う。人を信用するというギャンブル的要素が確率的には刹那なものであるのか、もしくは不可思議なものであるというのか――。それは露骨に面白い。
人間には性格というファクタが添付されてこの信頼やらを変化させる。つまり、性格というものを人に添付すると、信頼やらは時間ごとに変化するということに他ならない。よくよく云えば、人は常に変化することを義務付けられていると思う。
それは数学的に云えば、y軸にだって性質があり、違いもある。他人に自分の心を理解して欲しい、仲良くしたいという人間らしい感情も数学にはあるんだと僕は思う。
 それにしても、数学だと聞いた途端に拒否反応がでる人を多々見掛けるが、なぜなのだろうと僕は考える。

「…」

「***」

「???」

「……」

「!」
 ふと気付けば夕顔も萎んでいた頃合、今日は虫の息さえも聞こえそうにない。しかし、心臓は激しく高鳴る。膨らみ続ける僕の夢想は、今、開く
「嗚呼、そうか、いや、そうなのか」
 
「安易だからこそ複雑なのか―。」

数学とは結局「1+1=無限」を考えるもの、という根本が嫌なほど厳密だから理解しがたいのではないだろうか……。
「1+1=2」は確かに正しい。
しかし、本当に解はそれだけだといえるか、
「1」にも与式にも条件がない。つまり、どの数学を用いても良いことになる。
 もちろん算数では、答えは
「2」であるが数学まで拡張すれば答えは
「0」でもある
「1」でもある。はたまた、
「10」もしくは

「無限」

その場、その状況において自らが判断を下さなければならないのが数学の難しさなのだろう。

 例えばそれが微分であればその点の傾きが解るからなんなのか、分数を分数で割るとどうして割る方が分母、分子が反対になるのか。
 前者であればその点の傾きが分かればある方程式が導きだせる。
 後者であれば、割るという作業を解答者は無意識的に難しくしてしまっている場合が多い。
 丸いケーキを考えてみる。ただし、このケーキは生クリームも飾りもない半月型とする。
 これがこのケーキの条件になり、数学的条件と言える。
 そして、
「五人に均等にケーキを配るとすると一人分のケーキは丸いケーキの何分の一になるのか」という問いを付け足してみる。

 答えは、
「10分の1」だが、ここには疑問は少ないと思われる。
 しかし、この問いを五人でなく
「2分の1」とすると至極複雑になる。

 答えは、
「1」だが、日本語として
「2分の1人」はおかしい。
だが、ここで視点を変えるとこうなる。
「二人の内一人にケーキを配るとすると一人分のケーキは」とすると一人に配るのと同義である。

 つまり数学の難しさとは、
「考えることにあるのではないか」という仮説を立てることができる訳である。

 考えることが好ましいと思うものには、安易であり、そうでないものには複雑という訳である。
では、数学が通用しないとしたら、面白いと思わないか?
そう思ってしまう僕は、すでに普通ではないのか……?















僕は普通の男子高校生で、普通に生活をし、普通に死ぬだろうと思っている。
それはそれでいいと思っていたし、誰に迷惑をかける訳でもない。

 しかし、この通り振る舞い、つまらない前途になることを毛嫌いする時も間々ある。
 だからか、面白そうなことについつい反応してしまうし、深層では待ち望んでいる。
いや、これは語弊だな、僕は待っている訳じゃない。努力しても面白いことに巡り逢えないこの宿命に嫌気が差している。
「起きねぇよな面白いことって」
と誰に聞かせるでもない自問自答を日毎呈し続ける心はなんと愚かな。

 それにしても、片鱗ぐらい示してもいいと思わないかの為だけではないが数学とか物理だって日々研鑽を積んでいるのに……。








    この世は苦悶の世界だ。









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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
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