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大人になるって、ずっと遠いものだと思った。
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2011年08月23日 (火) | 編集 |
 今、僕はと言えばそんなことを思慮してしまう自身を自嘲し、だだっ広い公有地にずかずかと我が物顔で闖入している最中である。

 しかし、今日だけは多少足取りがはずむ。
景色も心なしか僕の胸中を察し、優美な慈雨を散らせていた。この時期には、桜吹雪という神々しい雨が似つかわしい。
「面白くなりそうだ」
と、なんて信憑性がないことを口ずさんでいると自重する自分が少し気恥ずかしいが、そんな阿呆らしい行いは軽くそこらに忘れ去り、僕は腰をかけた。


 




皮肉にもそれから半月が経ても不変的な生活が待ち受けていた。つまり、僕が思い描いたようなことは一切起こらなかった。
 
世界は、上手く出来過ぎている。

時間は不可逆、時間遡行も実質不可能、地球外生命体、未確認飛行物体の公式記録だって信憑性はほとんど皆無、それが面白いか、未確認生物が闊歩するまでは望まないが、せめて未確認飛行物体ぐらい飛び交ってても良いじゃないかと思わないか―。
 逆に思わないやつがいるとするなら、つまらない人だと思う。
 そう思い続けていただろうな、あんな留学生として派遣されなければ……。




女が僕にとんでもないことを話す。
無論、顔つきは力が入り硝子が遮る目は僕の瞳を放す隙さえ与えないが、彼女の折々観せる左指が金属の枠に軽く触れる仕種は、演技ではないことを見当づけさせた。

 しかし、この女は僕の存在を僕だと認識してからも、僕の存在が確定する以前も、有り得るはずがない、現代化学では有ってはならない話をするあばずれだ。
 もし、それに偽りがないとするならば、僕としては面白いが、未曾有な問題が浮上したことになる。
 確かに僕は、面白いことを望んでいたし、この苦悶の世界に絶望していた。
 だが、だからといって、安易に信じる程僕は馬鹿じゃない。それなりに常識をわきまえている。さすがに物理法則が全能とは言わないが、事象、現象のほとんどが解けると言っても過言ではない。
 それにしても馬鹿にされているようで不愉快だ。
そう思ってしまうのは、僕が冷静でいないせいなのか?
それとも、目の前のあばずれの下らないえせ話のせいなのかは、後者が原因で間違いはないだろう。
 しかし、ここはあくまでも冷徹に筋を通そうじゃないか。
「貴女の話しはよく解りましたが、具体的な形で示して頂けませんか? 」
僕はあからさまな嫌気を示しながら
「詳しい話しはそれからです。」
と返答した。
しかし、女は
「実に期待通りの答えです。いえ、悪い意味はありませんし、寧ろこちらとしては都合が良いです。非難している訳でもありません。お気になさらずに」
と、軽くあしらう。
僕は彼女の手のひらの上に転がされている?
 という疑問が過る。
しかし、注意深く考えはしなかった。

なんだか嫌気が刺す。

 事の発端は五月、勉学という平日の仕事を果たし、通称放課後と言われる頃合だ。

 僕はそそくさと教室から逃走し、昇降口を出た。。
黄昏に近しい頃合であるのに、太陽はまだまだ勢いがあり、広葉樹も葉を青々と茂らせ景色も賑やかに成ろうと努力しているように思える。
 こんなことはありふれた日常で、ただ退屈なだけだが、僕の目先には懸案が明瞭に待ち受けている予感がした。 
 「何故かって? 」目先に灰色のスーツを着用した女性と白い運転用の手袋をした黒スーツの男性、校門には似つかわしくないリムジンで、辺りに人は皆無、男女共に明らかに僕を凝視しているという状況。
 これらのことからパターンを想定してみても僕に用件がある方向のベクトルになる。
 一瞬裏手を目指そうと思い踵を返してはみたものの、面倒であるし、何よりリムジンに乗っている者が裏手に人を配置していない可能性を考えれば、無駄な余力を費やすことは愚かである。

 僕はしかたなく二人に声をかけることにした。
「何かようですか? 」
微かだが確かに女性は満足そうに微笑んだ。
「なかなかの判断力のようね」
初対面の他人に言われる言葉でないが、堪えよう
「御誉めありがとうございます。すいませんが忙しいので用件がないのならば、失礼したいのですが」
 女性は、辺りを軽く一瞥し、顔を強張らせた。
「何も聞かずに乗ってくれる? 」
僕は女性の視線が妙に気になり、耳をすます。すると、先程とは違い昇降口付近が賑やかになっていた。

女性が辺りを一瞥したのは、つまりここでは話しにくいと考えるのが自然である。
 この二人の目的が定かでないが、誘拐目的ではないのは理解できる。一体何が目的なのだろうか、鎌をかけてみようか
「嫌といったら? 」
 僕は直ぐ様彼女の一挙一動に神経を集中し
「残念ですがノーの選択肢はありません」
僕は彼女の言動には敢えて無視を決め込んだ。
「行くのはいいですが、僕にも利益が有りますか? 」本の一秒程間があり、彼女の左指が金属枠にちょこんと触れた。
「私には、解り兼ねます」
僕は小さく低い声で
「なるほど」と零し
「わかりました」と答えた。

 







前文はこの車上内のことである。
余りにもこの女は愚かであるから、とうに愛想がつきていた。端的に言えば、聞いているのも億劫だということだ。
しかし、慈悲深い僕は
「大まかには解りましたので、もう結構です」
と丁寧に断りを入れ
「つまり、地球外生命体が近々コンタクトとしてくるので、僕に出向いて欲しい、と」
僕は一呼吸だけ息を吸い
「そういうことですね」と言葉をつなげた。
残念なことに女は満足そうに微笑み、そうですと言わんばかりの顔つきで、それからは何も言わなくなった。
 
僕はその間この数学的確率を暫時考えていた。しかし、表れる数字は期待通り零が六個付き、1が場違いですねと言っているように思える。
「この際、常識は捨てるとしても、なぜ僕なんですか? 」
「わかりません」
女は困惑した表情で、凶悪な一言を述べた。
僕はその一言をどう受け止めることができたか自分自身不安であったが、そんなことはどうでもよくなった。
 
女は未だに何か言っている。しかし、僕は早くに視線を外し、ふと、窓を見た。
 窓の向こうには馴染みのない場景が自然な場所から擦れ違い、見送っても直ぐに距離が離れて行った。
 それは、今の僕と昔の僕との距離のようで

「皮肉だな」
ふっと息が抜け苦笑(えみ)が零れた。

 女はその表情を律義に観ていたのか
「どうかしましたか?」と不思議そうに投げ掛けた。
「いえ、別に」
 女は僕の心境を察したのか肩を落とし、僕から目を背けた。

 それから暫くしてまた女が口を開いた
「もうすぐのようね」
と一言と言うとゴソゴソと何かしている。
 全く気付かなかったが、女は自前のサイドバックを持っていたようで、そこから封筒と資料を取り出した。
「これを見てくれる」
女はそういうと封筒を右手で手渡した。
僕は何の不安も、好奇心もなかったが、受け取った瞬間に確かな重があるように感じる。
なにしろそこには、開封不可という黒肉にマル秘という朱肉が印されていた。
「???」
「……」
「*」
「**」
「***」
「……」
「……」
「」
「」
「」
車内には、どうしようもない程の沈黙が流れていた。僕は何度も頭の中で衝動を押し殺し、何も考えないようにした。





しかし、僕は封を開けた。








拝啓

今回貴方(貴女)をお呼びしましたのは、今日から十日後地球外から何らかの方法で地球外生命体がコンタクトを試みてくると確かな情報が入ったからであります。
 当初は我々も無視を決め込んでいました。
ですが、そうもいかなくなってしまったのです。

一ヵ月前、我々が極秘にしていた宇宙研究所へ暗号化された文書が何処からか発信されました。その暗号化は現代数式ではほとんど解けないものばかりで、かろうじて
「57442分2秒後に行く」
ということだけ読み取ることができました。
我々は当初、特Aクラスのハッカーの仕業かと思い、ダブルSクラスのハッカーを雇ったのですが、詳細は全く不明、それどころか足跡も完璧に抹消されました。
いや寧ろ、足跡が辿れる筈がないのです。
その送受信が行われる際、世界中に数秒間、高周波数電波障害が発生しました。それにより電波機器に何らかの影響が起き、送信先の固有波も不明な状況です。
 わかっているのはその時間の宇宙空間には高周波数電波の反響が部分的に起き三分後に消滅したということだけです。

今現在、地球の衛星軌道上に直径三kmの楕円型金属が衛星軌道上で、静止していたます。
初めにこの楕円型金属体を観測した当初は、衛星軌道上を自然なままに移動していました。しかし、ある日を境に動きを止め、我々のある地点を観測するかのように今現在も存在しています。
それが具体的に何なのかは我々の科学力では推し量ることができませんでした。

 
 正直我々も半信半疑でありますが、最悪の結果は避けなければなりません。
今回、私の優秀な部下を数人派遣いたしました。

無粋な真似をしてしまい申し訳ありません。後のことは、私の部下からお聞き下さい。答えられることがあるかと思います。

               敬具   外務省長官

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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学
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